「続けることは正義」オウンドメディアの9年間の長期運用を成功させ続ける3つの秘訣
「続けることは正義」オウンドメディアの9年間の長期運用を成功させ続ける3つの秘訣
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2022-05-10
6min

多くの企業がオウンドメディアをスタートするも3年以上運用を続けられる会社の数はそれほど多くないのが現状です。そんな中、人材紹介や人材派遣をはじめとする人材業界の人々に長く愛され続けるHRog(フロッグ)は、オウンドメディアの運用を始めて9年になりました。 今回は、HRog(フロッグ)が9年間もの長期運用を成功させ続けている理由とその秘訣を、株式会社フロッグの代表取締役兼HRog編集長の菊池健生(キクチタケオ)さんに伺いました。 今、オウンドメディアをやめるか続けるか悩んでいる方には目から鱗のお話が満載です。
目次
①「続けることは正義」成功するまで絶対やめない
オウンドメディアは、「続けることは正義」「成功するまで絶対やめない」という哲学を貫き9年間の運用を続けてきたHRog(フロッグ)の長期運用成功させる1つ目の秘訣を伺いました。
パワーがかけられなくなってもやめない
ーー菊池さんは、HRog(フロッグ)の2代目編集長とお聞きしましたが、それまではどのような変遷を辿ってきたのですか?
私が入社したのは2017年ですが、それまでには、大きく3つの時代がありました。1つ目の時代が2013年ごろで、当時の事業運営会社であった株式会社ゴーリスト代表の加藤がTwitterで人材業界に関する情報発信をしていたのをきっかけとして、HRog(フロッグ)が立ち上がりました。立ち上げ期は、主に、人材業界に関わるニュースを中心に発信していました。
その次が、2015年ごろで初代編集長が率いたインフォグラフィック時代です。この頃は、コンテンツのデザインなどにかなり注力していました。例えば、CoCo壱の求人広告への出稿状況をカレーで表現してみたりしていました。CoCo壱の事例は、この時代にかなりバズった良い例ですね。

(参考)ココイチの年間の求人動向は?|HRog
https://hrog.net/report/part-time/28330/
そして、初代編集長が退いてから数年間は、オウンドメディアを精力的に伸ばしていくことができていなかった低迷期に入ります。この頃は、オウンドメディアを精力的に伸ばしていくほどのパワーをかけられていなかったのですが、それでも、オウンドメディアをやめるという判断はせず、セールスメンバーが中心となり、コツコツと毎朝人材業界に関するニュース発信を2年間ほど続けていました。
そして、2017年に私が入社し、2代目編集長に就任して、現在のコンテンツマーケ時代に突入していったというのがこれまでの変遷です。
ーーなぜ、初代編集長が退職された後もオウンドメディアの運用を続けられていたのですか?
やはり、ゴーリスト立ち上げ時にHubspotに見たオウンドメディアの可能性を信じていたからだと思います。
代表のその判断と決断があり、その後営業社員がコツコツとオウンドメディアをやめずに続けてくれていたからこそ、2017年に私が入社したことで、一度伸び悩んでいたオウンドメディアがさらに成長していったんですよね。
ーー菊池さんがジョインした後かなり成長しているようですが、どのくらいのリード獲得ができていますか?
私がジョインしてからは、コンテンツマーケティングに注力をし続けてまして、2021年だと年間で約1,200件のリード獲得を実現しました。ただ、これが多いのか少ないのかは、なんとも言えないですが。
投資費用として毎年予算を必ずつける
ーー「やめない」という決断をして、オウンドメディアを続けるのは、大変じゃないですか?
はい。続けることは簡単じゃないと思います。でも、オウンドメディアというものは、会社の資産になり続けるものなので、「成功するまでやめない」という鉄の意志を貫けるか?というのがとても重要です。弊社にも低迷期に入り確かに、落ち込んでしまう時期がありましたが、それでも毎年予算をつけていました。
ーー予算をつけるというのは、どういうことですか?
社内のメンバー構成が変わったり、方針が変わったりすると、確かに予算が変動すると思いますが、それでもオウンドメディアへの予算をゼロにしないようにするということです。弊社の低迷期にも、予算が少ないながらもしっかりと営業担当者が毎朝人材業界に関するニュースを発信するというリソースを割いてくれていたからこそ、今があります。
オウンドメディア作りはファン作り
ーーオウンドメディアの長期運用を成功させた企業だけが知っている事実ってありますか?
オウンドメディアを長期的に運用し、成功している人たちは実感しているはずですが、オウンドメディアを成功させると「ファンが付いてくれる」ということです。オウンドメディアの成功体験をもつ企業は、新たな事業を始める際にしっかりと予算採りをしてオウンドメディアも同時に立ち上げるという行動をしていますよね。
ーーオウンドメディアが成功しない企業の特徴はなんですか?
大事なのは、最初から一貫してお伝えしている「やめない = 続ける」ということです。コロナなどで、本業自体が倒れてしまうというようなケースを除いて、オウンドメディアが成長する前にやめてしまうというのが、オウンドメディアで成果を上げられない企業の特徴ですかね。
②SEOよりも徹底的な「ユーザーファースト」
2つ目の秘訣のHRog(フロッグ)のコンテンツ制作の根底にある徹底的な「ユーザーファースト」について伺いました。

キーワード(SEO)ファーストで考えない
ーー菊池さんがジョインしてからどんなコンテンツづくりを心がけていますか?
私たちは、どの企業よりも人材業界に詳しく、どの企業よりも人材業界に寄り添うというのを意識しています。HRog(フロッグ)は、「人材業界の一歩先を照らすメディア」というコンセプトをもとに運営しているので、人材業界の方々が本当に知りたい情報を発信するようにしています。
ーーそれはつまり、メディアのターゲット層が検索するSEOキーワードを意識してるということですか?
いえ、そうではありません。私は個人的にSEOライティング系の記事があまり好きじゃないですよ。どのキーワードを検索しても上位の記事って大体同じこと書いてあるので。そもそも量産するような記事って書いてるほうもワクワクしているケースって少なくて、書き手の気持ちって読んでる人に少なからず伝わるんですよね。SEOではなくて、どちらかというと、書き手も企画段階からワクワクして、読者が本当に読みたくなるようなコンテンツづくりを心がけています。だからこそ、HRogでしか読めないような独自のコンテンツが作れているのだと思いますね。
時代に合わせて顧客のことを理解する
ーーオウンドメディアの初期はニュース配信が多いとお聞きしましたが、今はどんなコンテンツに注力していますか?
いまは、DX関連の記事に注力しています。時代の流れに合わせて人材業界全体にもDXを推し進めていこうという流れが来ているので。私たちのお客さんから「どうやってDXを推進していけば良いのかわからない」というような相談をたくさん受けるので、その質問に答えるような形でコンテンツを提供しています。
③他部門を巻き込む仕組みづくり
最後の秘訣「他部門を巻き込む仕組みづくり」についてお話を伺いました。

事業部とメディアチームを統合する
ーー菊池さんが見てきた中で失敗するオウンドメディアの特徴を教えていただけますか?
そうですね。事業部とオウンドメディアチームがバラバラの会社は失敗する傾向があると思います。メディアチームの掲げているメディアコンセプトが必ずしも営業部門などの目標と同じになるということはないので、リードが欲しいセールスとメディアのコンセプトを体現したいメディアチームとで衝突が起こってしまいます。
ーーHRog(フロッグ)でも部門間で衝突があったのですか?
衝突はないですね。私たちのメディアチームとセールスチームは、いまでこそ人数が増えたので2つのチームに分かれていますが、元々は1つの部門でセールスとメディアの役割を担っていました。同じ部門なのでミーティングでもセールスの売上状況を共有し、セールスの売上がピンチなことをメディアチームが知っていると、自発的にブランディングよりもリード獲得のコンテンツを増やそうとなります。お互いの方針・目標を理解しているいい関係でやってこれたのがポイントでした。
ーーオウンドメディアの運用体制や御社全体の体制を教えていただけますか?
現在のオウンドメディアのチームは、3名程度で運用しています。グループ会社を含めた全社的な組織づくりに関してでいうと、500名規模の企業を作るよりも、50名規模の企業を10社作る方が良いというのがグループの方針です。あえて、組織を大きくしすぎないことによって、すべての部署が自分ごととして、積極的にサービスやメディアに関わることができているのではないかと思っています。
問い合わせから契約まで一貫したUXを提供し続ける
ーーメディア運用がうまくいっていない会社のメディア(マーケ)部門と営業部門で対立構造になったりすることがありますが、御社はどうですか?
確かにありますね。弊社の場合は、問い合わせから契約まで一貫したUXを提供し続けるためにしっかりと仕組みづくりをしています。最初に始めたのは、朝礼で気になる記事(約4,000字程度)を30秒のピッチにまとめて発表するという取り組みです。メディアチームが良いコンテンツを作っても、他の社員に読まれていないなんてもったいないと思い、メディア・セールス全員で行いました。これが結構うまくいって、メディアチームが作った良いコンテンツをみんなに共有することで全社員の知識向上にも繋がったと思います。
ーーそのほかには、どんな工夫を行いましたか?
お客さんがホワイトペーパーをダウンロードしてお問合せしてくれたのに、営業担当者がそのホワイトペーパーの内容を理解していないという事象が起きないような工夫をしました。
具体的には、まず私が何かのテーマに対して1時間程度メディア編集の担当者とディスカッションをします。その内容をメディア編集者がホワイトペーパーに落とし込みをして、営業担当者にプレゼンをします。そして、最終的には、そのプレゼンを受けた営業担当者がウェビナーに登壇してお客さんに話すというような一連の流れを作ることで、新たに作られたコンテンツを全員に共有していく工夫を行いました。
①菊池さん→メディア編集者:テーマに関するディスカッションを1時間程度行う
②メディア編集者→デザイナー:要点を整理し、ホワイトペーパーを作成
③メディア編集者→営業担当者:ホワイトペーパーベースに営業担当者とウェビナーを設計
③営業担当者→お客さん:ウェビナーに登壇し、お客さんにプレゼン
ーー全社を巻き込むことで、どんな影響が出ましたか?
これまでお伝えしたような工夫をしたことで、数字や目には出てこないような良い影響が出ましたよ。例えば、営業担当者が商談の際に、弊社の記事になっているコンテンツの内容を話してみたり、業界リーダーのインタビュー記事をもとに、「××社の〇〇さんは、この先△△に注目しているみたいですよ」というトークができるようになったことで、お客さんとの信頼関係の構築がスムーズになったという効果がありましたね。
やはり、全社員がメディア記事を読むことで知識の向上に繋がっているのも教育面からみてすごく良い効果だと思います。
社内のみんなが読んでくれていることで、メディアチームも良いコンテンツを作り続けようという動機にもなるので。
【株式会社フロッグ】「HRog(フロッグ)」
本記事で紹介してきた「株式会社フロッグ」「HRog(フロッグ)」「代表取締役兼HRog編集長 菊池 健生」について詳しく紹介します。
株式会社フロッグとは

会社概要
会社名:株式会社フロッグ(HRog Co.,Ltd.)
HP:https://hrog.co.jp/
設立:2021年1月5日(株式会社ゴーリストより分社化)
資本金:1,000万円
事業内容:人材業界向け Sales/Marketing推進事業、UI/UX推進事業、DX推進事業
関連会社:株式会社ゴーリスト、株式会社HumAIn、Goalist Vietnam Limited Liability Company、Goalist India Technologies Private Limited
提供サービス
人材業界の一歩先を照らすメディア「HRog(フロッグ)」
https://hrog.net/
人材業界のための"求人"企業リスト「HRogリスト」
https://list.hrog.net/
官公庁・研究・報道機関向け 分析用求人ビッグデータ提供サービス「HRogリスト for アカデミア」
https://academia.hrog.net/
130超の求人媒体から求人分析ができるマーケティング支援サービス「HRogチャート」
https://chart.hrog.net/
エリア×職種の時給分析に特化したマーケティング支援サービス「HRogマップ」
https://map.hrog.net/
人材業界向けデータクレンジングサービス「HRogクレンジング」
https://cleansing.hrog.net/
人材業界のためのITソリューションサービス「HRogソリューション」
https://solution.hrog.net/
人材業界のためのDX推進サービス「HRogDX」
https://dx.hrog.net/
HRog(フロッグ)とは

HRog(フロッグ)
https://hrog.net/
HRog(フロッグ)のコンセプトは、「人材業界の一歩先を照らすメディア」です。
人材業界に関する最新のニュースや求人市場の動向、業界の専門家へのインタビュー記事など、人材業界(HR業界)に携わる人たちにとって役に立つ情報を毎日発信します。
代表取締役兼HRog編集長 菊池 健生(キクチ タケオ)
HRog編集長 菊池 健生
(株式会社フロッグ 代表取締役)
2009年大阪府立大学工学部卒業、株式会社キャリアデザインセンターへ入社。転職メディア事業にて法人営業、営業企画、プロダクトマネジャー、編集長を経験し、新卒メディア事業のマーケティングを経て、退職。
2017年、ゴーリストへジョイン。2019年取締役就任。人材業界の一歩先を照らすメディア「HRog」の編集長を務める。2021年より株式会社フロッグ代表取締役に就任。
まとめ
本記事で得られた教訓
「続けることは正義」成功するまで絶対やめない
オウンドメディアは、ファン作り。続けることが大切。
SEOよりも徹底的な「ユーザーファースト」
SEOキーワードよりも、顧客が本当に求めているコンテンツを追求して届け続けることが大切。
他部門を巻き込む仕組みづくり
メディアチームを孤立させず、目に見えないメリットをも全社に享受させることが大切。

廣瀬 義憲
DOC株式会社 代表取締役社長 兼 omuuu編集長
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